【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

騒がしい教室や廊下をかいくぐって

早々と玄関に来て、コートを着る。
マフラーをぐるぐるに首に巻き付け、靴箱を開く。


笑い声や

楽しそうな話し声が耳にじんじんと響いた。


なぜかそれがすごく寂しかった。




二段になっている靴箱から靴を取り出そうと覗き込んだ。



「…………え、」


靴の上に
一枚の白い手紙。

手に取ると、表に綺麗な文字で高橋冬様とかかれていた。

なんだ、と思いながら裏返すと、その文字に目を疑った。





「キノ……」





木野隆也より。

そう書いていた。


私は無我夢中で封筒を破いて、中の二枚の便箋を取り出した。

一枚は白紙だった。

なんでこんなとこきちっとしてんのよ。


とにかく…


ゆっくり心を落ち着かせながら、手紙の文字を追った。




『高橋冬様

寒さの厳しい季節がやって参りました。

冬様のご加減が心配です。キャンプのあと風邪をひいてから、変わりはありませんか?

僕はこの度諸事情により引っ越すことになりました。
もう冬さんはどうでもいいかもしれないけれど、
話さなくなってから会うこともなくなって。

タカのことだから、俺のこともう忘れたかもしれないけれど、一応、なんにも言わないで行くのもあれかなって、

一応、ね。

あと、何回でも言うけれど、ごめんね。


やっぱり、傷つけたよね。

タカは知ってたのにずっと一緒にいてくれた。

ちゃんと、お別れも言ってなかったな。

本当は直接言いたかったけれど、タカの前だと言えない気がした。

元気でね。

体に気を付けてね。

本当に、ありがとう。


木野隆也より』