「暗いな」
「うん」
トイレの裏で息を潜めながら呟いた。
肝試しなんかより、ずっとドキドキして手に汗を握った。
やっとだ。
やっと
聞ける。
「で、話って?」
ごくりと息を飲んで、私はそっと小さな声を出した。
「キノのこと、なんだけど」
「…えー…」
「なに、えーって…」
「だって話あるって言ったら告白かと思うじゃん」
「違うし」
…前言撤回。
アザミくんはまったく勘づいていませんでした。
ため息をついて私はもう一度声を出した。
「キノについて聞きたい」
「キノ?」
「アザミくんは、キノのこと昔から知っているんでしょう?だから、教えてほしい」
「いいよ、キノは昔からわけわかんねーやつで、俺の嫌いなやつ、以上」
「い、以上って、からかわないでよ。そんなことが聞きたいんじゃなくて、もっと深い話…げほ、」
「て、言われてもな、今日ははやく寝た方がいいんじゃねえ?咳出てるし」
「心配無用、げほっ、で?教えてよ」
ふいっと顔を背けて誤魔化すアザミくん。
こんなところで、またもやもやするのは嫌だ。
必ず聞く、今ここで。
私はアザミくん以外に聞く人がいないんだ。
アザミくんに一歩近づいて、威嚇するように目を向けた。

