そんなにキノのことでストレスたまってたの?


改めて感じた。


私はやっぱり

キノに振り回されている。


キノが側に居るときも

居ない今も



私の心は
キノのせいで引っ張り回されてばかりだ。


キノの言葉に笑ったり

キノの自由なところに呆れたり

キノの行動にドキドキしたり、キュンとしたり

キノの異変に

心がざわめいたり



私はいつもキノでいっぱいだ


いつからだろう


こんなにキノを中心に私の世界が回り始めたのは。




「フーちゃん、私、思うんだけど。

つまりフーちゃんがキノくんから離れていくことが

キノくんが一番恐れていることなんだと思う」


「まあ、そりゃ、そういう話だよな。

話を総合すれば」



理由は置いておくとして


確かに
マヒロくんの送った写真をキノが私がキノから離れていったと受け取ったから


ああなったわけだからな。




「これってキノくんが高橋さん好きすぎて依存症で

居ないと死んじゃうみたいな感じではないの?」


「……そう見える?」


「…まあ、キノくんがフーちゃんを大好きなのはわかるけど

そんな重たくはないよね」

「彼女置いてカエル探すやつだからな」



マヒロくんが苦笑いしながら頷く。

エリちゃんはいたって真面目だ。



「やっぱり大切なのは

何かが理由でキノくんがフーちゃんを失うことを恐れているの"何か"なんだよね」


「…うん」


「で、それを知る手段は今はない、と」



3人で腕を組んで唸る。


やっぱり


今できることは

何もないんだ。



「今まで通りが

一番だね、やっぱし」



エリちゃんの言葉に私は強く頷いた。


そのあと、お昼を過ぎて

私たちは歌わないままカラオケ店を出た。


バイバイと二人に手を振って
目で最後の約束を確認して互いに頷いた。