「え!?いや、別にそんなこと言ってないけど……」 「なら問題ないわね」 島崎に向かって室田が言う。 室田麗子が。 俺の前でしか声を出さなかった室田麗子が、俺以外の男の前で喋っている。 「……………っ!?ちょっと、黒谷くん……!?」 急に俺が動き出したからか、俺の腕を掴んでいる室田も一緒に動き出す。 何驚いた顔してんだよ。 お前が喋ったことに驚いている島崎の顔の方がすげーけど。 俺はこの微妙な空気をこれ以上吸わないために教室を出た。