俺はキスで気絶されたことを思いだし、近づけた顔を離した。
そして室田麗子を優しく抱き締めた。
「ごめんな……急にキスして」
「ん……へーき……」
「気分はどう?悪くない?」
「だいじょうぶ……」
「そっか……」
「うん…。黒谷くん、心配しすぎ……」
ふふ、と室田麗子が笑う。
そして、彼女を抱き締めている俺の背中に細い腕がまわる。
…………ええええ!?!?!?
「黒谷くん……あったかいね……」
「え、いや、あの、えと、室田の方があったかいよ」
「なんかね…落ち着く」
「俺もお前の匂い好きだ」
匂いの事を落ち着くって言われた訳じゃないのに、
匂いが好きって言ってしまった。
無意識な変態発言に自分自身が驚く。
しかも、なんか告白っぽいこと言ってしまったと後悔。
そんな事思っていたら、一気に視界は真っ暗。
室田麗子は俺に抱き締められて上体を起こしていたが、
こいつがその上体をまた寝かせたために、
俺は室田麗子に抱き締められて寝るような形になってしまった。
こっ……これはやばい………!
俺は急いでベッドから出ると、
「じゃ、じゃあ室田も起きたことだし、俺帰るわ!鍵閉めろよ!じゃ!」
言い逃げして俺は自分の家へ走った。
