とりあえず親には、
『帰宅遅れる。厄介な奴に捕まった』
と連絡しといた。
「俺がキスなんてしなければ………ごめん」
まだ目を覚まさない室田麗子の頭を撫でながら一人呟く。
一応、俺だってファーストキスだ。
まさかファーストキスのお相手が真顔女とは………。
ま、可愛いからしたんだけど。
次からキスする前に予告しないと駄目だな。
そんな反省をしているとき。
「……んー………あれ……?ここ………家……?」
室田麗子が起きた。
「室田っ、大丈夫か!?」
俺は突然の事に驚いて、室田麗子の顔を上から覗きこむ。
心配そうな俺の顔を見て、柔らかく微笑む彼女。
俺に手を伸ばしてきたかと思うと、優しく、俺の頬に触れる。
「ん……。だいじょ……ぶ……」
まだ眠いのか、いつものハキハキとした喋り方じゃない、甘い声。
すごく、すごく愛しい。
