寝室を出たあと、二階を捜索。
でも、親のものなんてなかった。
父親のもの、母親のもの、どちらも見つからなかった。
やっぱり、この家には室田麗子がひとりで住んでいるみたいだ。
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だいぶ時間が過ぎてしまっている。
このまま自分の家へ帰ってしまおうとも考えた。
だけど、それはできなかった。
この家には、意識を失っている室田麗子という可愛い女子がいる。
生憎俺は合鍵を持つほどの仲じゃないから、
俺が出ていけば玄関の扉は開けっぱなし。
そうなると、どうなるか。
無論、鍵の開いた不用心なこの家に、
泥棒やら変態やら不法侵入する輩が入ってくる。
奥にいるとはいえ、規則正しい寝息がそいつの耳に聞こえてくる。
可愛い眠り姫は簡単に見つかり、そのまま誘拐され、かえらぬ人に……。
……………なんて恐ろしい我が妄想。
こんなことが簡単に想像できてしまうから、俺は帰れないでいる。
室田麗子はただ寝ているわけではないので、起こそうとしても駄目だった。
