.+゚麗子side゚+.


黒谷くんが私の左手をとり、手の甲に口付けを落とす。


「『我が妃になってくれるか、シンデレラ』」


「『えぇ、勿論!』」



私はキスシーンの前の台詞を言ってから、


この問題のキスについて相談しなければいけないな、と思った。



「 ねぇ、ここどうする?キスのところー……… 」



言おうとした質問を言い終わる前に唇に柔らかな感触が広がる。


目の前には黒谷くんの顔の、どアップが一瞬見えた。


『イケメン』と学校中の女子からキャーキャー言われるだけあって、


その接近した顔は綺麗に整っている。




少し、ドキッとしてしまった。




………うん?


唇に柔らかな感触………どアップの彼の顔…………。


それらは一瞬であり、感触も接近した顔もすぐに消えた。




──────つまり、私は、キスをされたということ…………?




恥ずかしくて恥ずかしくて、恥ずかしさのせいで思考回路が爆発し、


ただ赤面するしかなかった。


私から目をそらす黒谷くんもよく見れば頬が赤い。


いや、耳までもが赤い。




その一瞬の出来事のせいで何も考えられなくなった。




私はそこから意識が途絶えた。