俺は自慢の変顔を見せる。



………駄目だ、ぴくりともしない。


ただ、困った表情が浮かんでいるだけ。



だが、困った表情も可愛い。何と言うか、新鮮だ。


自分がここまで性格の悪いやつだとは思ってなかった。



困るってことは、笑うし、泣くし、照れるってことだろ?


困る顔は制覇済みだ。笑わせることは無理らしい。


だが、さすがに泣かせるわけにもいかない。



こうなったら、照れさせてやるしかねぇか!


「なぁー笑えよー!笑った方が絶対可愛いから!」



……………………言っているこっちが照れる。


色んな顔をさせるためとはいえ、本性だ。


こんなにストレートだったか自分!!!



でも駄目だ。俺が照れてもこいつは笑わない。


くそ、何をしたら顔が変わる?



息がかかるほどの距離で、俺は壁についていた右手を彼女の頬へ運ぶ。