バスが停まって、バスに乗ってくる人に絶対ににこやかに微笑まれる。


きっとラブラブなカップルだと思われてるんだろうな。


恥ずかしさに耐えられなくなり、俺は寝たフリをして現実逃避した。





《△△町二丁目………△△町二丁目………》



おっと!!!



俺はすかさず停車ボタンを押す。


危ねぇー。乗り過ごすとこだったぜ………。



「おい、起きろ。お前んちの近くまで来たぞ」


「……うーん………」


「おい、寝ぼけんなって。さっ、降りるぞ」


「まだご飯食べるぅー……」


「はぁー……」




手間のかかるやつ。俺がいなかったらどうすんだ、ったく。




仕方なく俺は狭いバスの中、


夢から覚める気配のない室田麗子をお姫様抱っこ。


バスにいる、運転手以外のお客さんから拍手と、


『ひゅーひゅー!おアツいねーお二人さん!』


なーんてからかいを浴びる。



……あー、恥ずかしくて死ねる。