結局その瞳から見つめられてしまって、会話が終わってしまったので、
俺の方から合わさっていた視線をそらしたんだけど。
何でか分からないけど室田を直視できなくて、俺は窓側だったから、
それを良いことにずっとぼーっと外を眺めてた。
こんな時間にコイツとバスに乗るのは初めてだからな。
コイツの家は案外学校よりも遠くて、その分道のりも長い。
………コトン
バスが揺れた。
同時に左肩に、丁度良い重み。
………可愛い生き物が俺に寄り添って寝てる。
これはもう可愛いと認めないといけない。
これは本当にこの世に存在するものなのか?
つい、じっと見てしまう。
長くてすこしカールのかかったまつげ。
口紅を塗ったような、艶やかな唇。
ほんの少し、赤らんだ頬。
あー、ダメだ。
頼むから、そんな可愛い顔で寝ないでくれ。