突然、今まで笑ったことのない女子が、
俺の頭を撫で、笑っている。
誰だってそんなことあったら驚くだろ!?
急な出来事に動揺し、上半身を椅子に垂直になるように
体を一気に起こした。
室田麗子も驚いたのか、声を出さずに俺から離れていた。
俺は、あの綺麗な笑顔がもう一度見たくて、つい腕を握ってしまっていた。
「ねぇ、もう一度笑ってよ」
「………………」
面白い。
こっちが追い詰めると、あっちは恐る恐る逃げていく。
気が付けば、遠かった壁に俺の両手がつくほど移動していた。
こいつより俺の方が17センチくらい身長が高いんじゃないか?
室田麗子は困ったような顔でこっちを見上げてる。
今までこいつの顔の筋肉はないんだと思ってた。
けど今はそうは思えないほどの顔をしてる。
いつの間にか挑発的な笑みを浮かべてた俺は、
お互いの息がかかる距離にまで達していた。
「なぁ、笑えよー」
