「だーかーら!本当は主人公が黒谷くんって決まってから『姫役やりたい!』って女子がたくさんいたんだけど、先生が『じゃ、間をとって室田はどうだー?』って。
それを聞いた女子が、『確かに。(この子無愛想で黒谷くんに興味ないから抜け駆けしないだろうし、私たちが継母役になってこの子の事いじめられるから)賛成!』ってなったのよ」
「へ、へぇー……」
突っ込みどころ満載なその会話の再現に、俺はただ笑うしかなかった。
「ま、そういうことだから、たぶん黒谷くんは王子役。
ひらひらした水色のドレスを金髪ロングヘアーのカツラかぶって演じるよりはずっといいでしょう?」
「お、おう……」
俺を説得するための言葉に室田麗子の
本音が入っていることがなんとなく分かる。
ま、確かに嫌だけどな。
でも。
室田が相手とか、ちょっとラッキーじゃん?
なんせ、落としたい相手なんだからさ。
…………ん?
あ、いや、今の『落としたい』っていうのは間違いだ!
たぶん………。
