結局俺は間接キスを重ねるのが嫌で、室田に全部アイスをあげてしまった。
ま、当の本人はあまり気にしていないようだったから
俺も気にしないフリをした。
や、でも好きでもない女子と間接でもキスっていうのは、
やっぱ抵抗あるな。
抵抗してまでそんなにトリプル重ねアイスが食いたかった訳じゃないし。
あげて正解だな。
俺はそんなことを思いながら、どうでもいい会話をしながら、
室田麗子を家までちゃーんと送ってやった。
「あ……、今日の事も内緒ね」
「おう」
そう言葉で約束すると、室田麗子はさっさと家の中へ入っていった。
なんとなく、揺らめく艶のあるその髪に、
見とれていたのはなぜだろう。
一人で帰っているときにふと思い出したのは、
真顔の理由を聞いたが話してもらえなかったことだ。
他人事だけに、好奇心や興味がわいてくる。
こりゃもっと親密にならなければ聞き出せないな……。
別に知ったところで俺に得なんてないんだけどさ。
