すると、室田麗子が
「………あっちがいい」
なんて文句を言ってきた。
なんて面倒な奴なんだろう。
別にこっちのベンチだろうがあっちのベンチだろうが、変わんねぇだろ。
そんなことを思いつつ、とても優しい俺はあっちのベンチへと移動した。
「なんでこっちが良かったんだよ?別に変わんねぇだろ」
気になったことを直接、ベンチに腰掛けてから素直に聞いてみた。
「さぁね?私も知らないわ」
「は?なんだそれ」
じゃあ別に移動しなくて良かったんじゃねぇの?
でもまた戻るのも面倒だったから、
俺はさっきまで遠かったベンチに腰をおろした。
