とりあえず、室田麗子のおかげで反省文は無事5枚書けた。


ったく、授業中に後ろ向くことの何が悪いんだか。


板書だって綺麗にしてるし、話だってちゃんと聞いてる。


……………ただ、意識の方向が違うだけだ。






室田麗子は真顔のまま、曽野先生から反省文を提出しに行った俺が


解放されるのを職員室前で待っていたみたいだ。




「送って頂戴」



普通こういうのは男から申し出るものじゃないのか?


もっと可愛いげのある女の子に言われたら勿論送っていったが、


こいつの場合、仁王立ちで偉そうに頼んでくる真顔女だからな。



「嫌だね」


「反省文のこと、曽野先生に私が考えたって伝えた方がいいかしら」



室田麗子は職員室に足を踏み入れる動作をした。


「あ、おい!待てよ!」


……………………脅しだ。