〖心恋し〗-うらごいし-

「え、誰?あの人」
「あんな人いたっけ?」
「なに?」

どうしよう。最悪だ。
そう思いながら、稟が前に書いておいてくれていた自分の席にむかう。
一番後ろの窓際の席。
そこに何事も無かったかのようなフリをして、座る。
まだざわざわと騒ぐ生徒たちを睨み付けた。

またやっちゃったよ…。
強がろうとするといつも睨んでしまう。
本当、こんな自分が大嫌いだ。

不意に教室の後ろのドアが開く。
稟たちだ。
「んでさ~。その人がよ~…って」
どったの?と稟と一緒にいた男子生徒がキョロキョロと教室内を見回す。
そして、私を見た瞬間に彼はやっと理解したのか、あぁ、と言って、稟と教室に入る。

わかっていた。
でも、仕方ない。
ずっと来ていなかったんだ。
仕方ない。