僕は学校から出て、ひたすら走り続けた。
とにかく今は1人になって外の空気を吸って考えよう。
僕はどうすれば良い?
一体何をすれば良いんだ。
考えろ!考えるんだ!

僕もみんなと同じように夢野に近付かなければ、
もう2度と関わらなければそれで良いのか?

教えてくれ。誰か・・・。
その時、誰かが後ろから抱きついてきた。

「え!?」

僕はビックリして立ち止まった。

「どこに行くの?・・・空野君!」

僕はその声を聞いて、秋山だと分かった。

「空野君・・・私、どうしたら良いの!?
・・・もう分からない!」

秋山は泣いていた。

今の僕には秋山の辛さを理解できた。


「空野君はどこにも行かないで・・・!!お願い・・・!」


しばらくしてから僕は秋山の手を握った。


「秋山・・・」


僕は秋山と向き合った。
秋山の顔は涙で濡れている。

「そういえば・・・ずっと、言いたかったことがある」

僕は秋山の目を見た。


「・・・私には好きな人がいます。

彼は、綺麗な瞳をしています。

晴れた日の、

青い空を見ると、

いつも彼のことを思い出します。

彼は綺麗なブルーの瞳をしています」


僕は拾った恋ノートに書かれていた文章をそのまま言った。


「僕は道に落ちていたノートを拾った。
そのノートには、それだけ書かれてたんだ」

僕の言葉に秋山は驚いていた。

「あれは、君のノートだね?
そして、あの文章の「彼」とは夢野のことだよね」

秋山の好きな人は夢野だ。

秋山は今までずっと1人で悩んでいたに違いない。
夢野の側にいたい気持ちと、夢野を恐れてしまう気持ちの両方で揺れ動き、
ずっと悩んでいた。やがて自分の気持ちがだんだんと分からなくなっていく。

夢野を想う気持ちは本物なのか・・・ということが。