僕は桐島さんという人が来るのを待っていた。

僕を呼ぶ声がして、振り向くと背の高い男性が僕を見下ろしていた。

新一さんと同じくらいの年齢の人だった。

「その制服、君が空野翼君?」

男性にそう言われ僕は頷いた。

「よしっ!俺は桐島。車はあっちだよ」

そして桐島さんと僕は車に乗り込んだ。

「君はサプライズで登場するから、新一の合図があるまでは
この車で待機しててもらうよ」

そこまでする必要があるだろうか・・・と一瞬思ったが
僕は気にせず従うことにした。

「新一からの電話が合図だと思って」

そう言われたので僕は自分の携帯を取り出す。

車は店の前に到着した。

前から思っていたのだが、
もしかすると新一さんは、かなりのお金持ちなのかもしれない。
新一さんと夢野が住んでいる家や、
新一さんの車、そしてこれから行く店を見ると
そう思わずにはいられなかった。

僕はそれから20分くらい車の中で待っていた。
すると、ようやく携帯の着信が鳴り出した。

「さぁ、行こうか」

桐島さんは僕にそう言うと車から出た。

僕は桐島さんに夢野達がいる所へ案内してくれた。

そして、扉の前で立ち止まる。

「この扉の向こうでパーティーをしてる。」

扉の向こうから賑やかな声が聞こえてきた。
すると、桐島さんは携帯を取り出しメールを打ち始めた。

しばらくして新一さんの声が聞こえた。

「今日はサプライズゲストを呼んでるんだ。
類、誰だと思う?」

僕は耳をすました。

「そんなの知らねぇよ」

と不機嫌そうな夢野の声が聞こえた。

「あの扉に注目してくれ!」

新一さんが大きな声でそう言うと、桐島さんが扉を開けた。

本当に、ここまでする必要があるのだろうか。
新一さんは一体何を考えているのだろう。