また、あの少年の夢を見た。
前に見た夢の続きだった。
少年が部屋から出ていく。僕はそれを見て急いで少年を追った。
(今度こそ、この夢の続きを最後まで見てやる!)
僕のその強い気持ちのせいなのか、夢はスムーズに進む。
階段を降りると、少年は震えながらリビングの方を見ていた。
僕は少年の後ろに立った。
ガシャーン!とガラスが割れる音がした。
僕はリビングの方を見た。
少年は音に怯え、その場にしゃがみこんでいる。
よく見ると割れた食器などが床に散乱している。
その時、酒瓶を持った男が見えた。
そして1人の女性・・・。
男は、その女性に暴力を振るっている。
すると、少年は立ち上がりその男に向かっていった。
「もうやめて!!」
その声で男は動きを止める。
女性は顔を真っ青にして少年を見た。
「何してるの!部屋に戻りなさい!」
女性は叫んだ。
しかし、少年は体を震わせながら男を睨み続けていた。
「お前、誰に向かって・・・!!」
男は少年の腕を力強く掴んだ。
「やめて!!!」
女性は、男と少年を引き離し、少年は床に倒れた。
「早く逃げて!!!」
女性のその言葉に、少年は慌てて和室の方へ走っていく。
そして、押入れの中へ隠れた。
「お願い!あの子には手を出さないで!!」
女性の声が部屋中に響き渡る。
少年は押入れの中から様子を覗いていた。
女性は男にしがみつき離れようとしない。
「離せ!あいつ、どこに行った?出てこい!」
その時、男はドンッと女性を力強く押した。
女性はバランスを崩し頭を打ち倒れたかと思うと、
そのまま動かなくなった。
少年はそれを押入れの中から見ていた。
「うわぁあああああああああああ!!!」
少年の叫び声が僕の耳に、そして心に響き渡る。
その声は、僕が今までに聞いたことのない【人の叫び】だった。
気がついたら少年は泣きながら、その男に飛びかかっていた。

