僕はまたあの少年の夢を見た。
外は相変わらずの雨で、雷の音がうるさく鳴り響いている。
少年は踞り体を震わせる。
ガシャーンと何かが割れる音がして少年は耳を塞ぐ。
そして、また何かが割れる音と雷の音が同時に鳴ると
少年は部屋から飛び出していく。

追いかけたい。
彼がどこの行ったのか。
その先が知りたい。

目覚めるな。
目覚めるな。

僕はその部屋から出た。
夢の中の僕は彼を追う。
どうやらここは2階らしい。
下から声が聞こえた。僕はゆっくりと階段を降りると
少年がリビングの方を覗いているのが見えた。
体は震えたままだ。
僕はゆっくりとその少年に近づく。
そして、リビングからガシャーンとガラスのような物が
割れる音がした。

僕は目が覚めた。同じ夢。しかし今回は、
あの部屋から出ることができた。
せっかく少年の所まで行けたというのに。
僕は部屋のカーテンを開けた。
昨日の出来事を思い出す。

僕は田口や磯谷達に、
もう夢野とは関わらないと約束をした。
もちろんそれは嘘だった。
むしろ、もう関わりたくないのは田口と磯谷達だった。
あれから僕に対する態度は今までとは明らかに変わっていたし
他の生徒達も僕を避けているような気がしてならない。

何かを隠している。