東は見惚れていた。

清楚な月白色のワンピースを身に纏い、濡烏の髪を風に靡かせる彼女に。


     『お久し振りです』



不意に彼女は振り向き、東に微笑む。

鈴の音の様に消え入りそうな彼女の声は地平線の向こう側の空気をも揺らして見せた。


     『いいえ、初めまして』


その澄んだ声に東は不思議そうに首を傾げた。