今、欲しいのは暗闇だけ。



ドッガーーーン!


巨大隕石が落ちて、胸の中に轟音が響いた。



「岩崎も、一緒に東京に行かないか?」


「……」


わかんない、急にそんなこと言われても。
進路なんて何も考えてないもん…



「行くよ」


私の口から勝手に言葉が出ていた。


「行こうな」


どんな顔をして、篠田がそう言ったは分からないけれど、声の感じからして、隕石はクレーターを作ることなく、1番良い形で回避されたことは間違いない。


もう、映像なんて全く目にはいらなかったけど。

人類の危機なんて、どうでも良くなったけど。


心臓がドクドク音を立ててる。

こんな気持ちになったことない。


不意に、私の右手が熱くなった。


ちら。と目玉だけ動かしたら、私の手の上に篠田の手が重ねられていた。


隕石が落ちた胸は、爆発しそうに熱くなる。


ああ、なんかワケわかんない。


こんなこと、されちゃうなんて、
拒否もせず、嬉しいって思ってる自分、なんなんだろう。



「…してもいい?」


「え」


ふわり、と手が離れたと思ったら、映画を遮って、篠田の顔がどアップで飛び込んできた。