今、欲しいのは暗闇だけ。



何分か後。

唇が離れると、篠田はニッコリと笑顔を見せた。


私の肩に手を回し、髪をクルクル指に巻き付けてもて遊ぶ。


篠田は満足そうだけど、私は……
なんか、疲れた…



「帰りたい」


「エエエエッ!」


部屋を開けたら、誰かか全裸でいた、みたいに仰け反ってビックリする篠田。


いちいち、オーバーなやつ。
こっちが驚いた…


誰もいないのに、私は声をひそめた。



「私の家に行かない?……親、旅行いっていないんだ」


「……うん、いいの?」


「うん…」


篠田は再び、私の手を握った。ギュッと。


もう、映画どころじゃない。


さよなら、地球防衛隊。
さよなら、オデオン座。




「今、欲しいのは暗闇だけ。」

fin