今、欲しいのは暗闇だけ。



私は本能的に目をつぶった。


したことないのに、唇も少し、尖らせた。



乾いた唇同士が触れ合う。

この感触、知ってる、と思う。


思い出した。


篠田のそれは、今日、学校帰り、道端で夏美と食べた雪見大福の皮の部分にそっくりで、柔らかくって感動ものだった。


唇が少し開いて、熱くて、ぬめぬめとしたベロが入ってきた。


篠田は、中腰だからちょっと辛いらしく、私の頭を片手で抱えるようにして、支えにする。


密着度が高まると、篠田はベロをクネクネさせた。

前歯が時々、カチンと当たる。


段々息苦しくなってきた。


いつ息すればいいんだろ?篠田に鼻息がかかっちゃうのは、嫌だから、

ん…と声を少し出して、息継ぎをした。


篠田も、ん…と声を出した。



ドガーン、ワー!キャー!オーマイガッ


向こうで人々が大騒ぎしてる。


わずかに、篠田の汗の臭いがする。

私は、身体の奥がしびれちゃってる。