吸血鬼







負けたんだよ


カナタはミラを好きなままで


何も変わらない


今日の夜リファースが迎えに来る


『ピーンポーン』


インターホンの音が響いた


リファースはインターホン何て使わない


出たくない


出ない


人に会いたく無い


2、3回鳴らして止んだ


布団に包まり夜を待った


『ガチャッ』


誰か分からないから少しだけ隙間を作って見て見た


リファースだ


隙間を閉じ、何か言おうと思ったけど、何も言えなくて


…………いや、
言葉の発し方を忘れていて


でもリファースは近くに来て布団を剥いだ


「起きてよ
迎えに来たよ
ほら、挨拶に行こう」


そう微笑んだ


挨拶って?
と、聞きたかったけれど口は動くが声は儚く空中で消えた


そんな私を見て


「松奏汰の所へ行こう
人間が吸血鬼になる時に、その時1番思っている人間に自分のことを話しても良い、けれどその人が誰かに話せば話された人と話した人は血を吸われて死ぬがな」


そう言い手を伸ばすリファース
首を縦に振り、伸ばされた手を掴んだ