吸血鬼






家に帰っても1人…


お母さんはどこ?


不安が覆いかぶさる中


ただ思い浮かぶのはリファースと名乗った彼の顔


「……リファース…………」


いつの間にか呼んでしまったその名前


「俺を呼んだの?
……泣かないで」


リファースが悲しそうに言う


両手で優しく包み込んでくれる


お母さんが愛おしく、カナタが懐かしい


リファースは冷たいのに優しかった


涙は流れ、止まることを知らない


リファースはただ、
………ただ、包み込んでくれるだけ


優しく、冷たいその手で