「僕と翼はね血が繋がってないんだよ」

「え?」


「翼は養子なんだ」


「翼先輩が養子……?」

「子供が産まれなくてね、妻のいとこのご夫婦が事故で亡くなってしまって」

「私達が引き取ったんだよ」


「翼が2歳のころ、妻が病気で亡くなってしまって男でひとつで育ててきたんだが……」

「忙しくて、ベビーシッターにまかせっきりで翼にかまってやれなかった」


「それで、ふたりは仲が悪いんですか?」


「いや、中学のころに翼が学年で1番になったことがあっね」


「翼先輩ってそんなに頭いいんだ」


「いや、高校にはいってからは僕のせいでどんどん下がっていってしまって」


「翼を褒めたことがなかったんだ」


「1番になっても………」


「翼はもう、僕を父親だとはおもってないよ」


「そんなことないです」

「理事長は翼先輩のためにお花畑を作ったんですよね」


「ああ、少しでも落ち着けるようにね」

「絶対仲直りでますよ」

「ありがとう、でももういいんだ」

「良くないです!」


「私、諦めませんから」