赤い顔して、自分の心臓に手を当てて言う。

心臓が痛いって。


俺のせいだって…、走って逃げた女の子。


馬鹿だねー…?あいつ。


俺がそんなに鈍感だと思った??


俺には、優奈が俺のことが好きだって言ってるようにしか聞こえなかった。


逃げなかったらまだ良かったものの、あれで逃げたら、マジ。って言ってるよーなもんじゃんかね?


本当馬鹿。


優奈の事は特別に思ってるよ。


他の生徒とは、違うって。


でも、好きなのか?

それは恋か??って、聞かれたら、

俺の答えは………わからない。だと思うんだ。


嫌いじゃない。むしろ可愛いし、好きだよ。


でも、恋愛じゃない、っていうか。


いつまでも廊下でぼーっとつったってたら、中庭に優奈の姿を見つけた。


隣にいるのは…あぁ。あいつか。


泉ヒロシ。(いずみひろし)


他の教科の先生からは、授業に全く顔を出さないって噂の、優奈と同じクラスの男子生徒だ。


でも、それは噂ってだけで、本当かどうかは知らない。


だってあいつは、俺の授業にはほぼ顔を出している。


なんでかは知らねーけど。

だから、そんなに悪りー奴だとは俺は思っていない。

金髪でも。ピアスばっかでも。


俺は聞いた。


泉が、優奈のを〝ゆーな〟って言ったのを。

優奈が、泉を〝ヒロシ〟って言ったのを。


たかがそんな事で、胸んとこがチクって痛んだのは、


いったいどうしてなんだろう…。