「長谷、長谷って小林の事好きだろ。」

小林先生の保健の授業が終わった後、隣の席のヒロシが話しかけてきた。

ヒロシは見た目ヤンキー。

髪は金髪で、アメピンばっか。ピアスもネックレスもジャラジャラで腰パン。

いつもほとんど無口で、授業なんて出るのが珍しいって人が私に急に話しかけてきた。

「は?そんなんじゃない。」

頬杖をつきながら真っ直ぐ視線を向けてくるヒロシ。

「否定しなくたっていいじゃねーか。誰を好きなろうと、個人の自由なんだからよ。」

「……………。」

「…別に肯定しろともいってねーから、そんな困ったよーな顔すんな。」

何も言わなかった私をみて、困らせたのかと思ったのか、ヒロシはガタッと席をたって、何処かへ行ってしまおうとした。

「…………誰にも言わないでよ。」

「言わねーし。言ったって俺に何のメリットがあんだよ。」

…サボりか。

ヒロシはそのまま教室を出て行ってしまった。