どーせ、真っ暗でしょ。なんてたかを括ってたのに。



思いの外、月明かりが差し込んできて驚いた。



見上げれば、満月が輝いていて。




その静かで美しい光に、何故だか無性に、あいつの声が聞きたくなった。



携帯を開いて、《志賀智則》の文字を探し出す。


と、ここで気づいた。



「うそ、2時なの!?」



こんな真夜中に掛けて出るだろうか?

なんて不安になりつつも、体が先に動いてコール音が響いた。