「王河……。 なぁに? あたしに伝えたいことって……」 乃愛の声が、斜め後ろから聞こえる。 「…………」 でも、今は。 教えられない。 口に出せない。 だって……。 俺にとって、大事な大事な言葉を告げようとしているんだから。 こんな、ただの裏道で。 口に出せるようなことじゃない。