「オレの……。
“大好きな彼女です”……って。
言いたかった」


「…………」


「でも、オレ。
素直じゃないから……」


「…………」


「好きな子に、どうしても好きって言えなくて」


「…………」


「その代わり、意地悪なことばかりした」


口元から右手を離し、ギュッと握る。


息をハァーッと吐き出しながら、カズはズルズルと廊下に座り込んだ。


「あげく、傷つけて、嫌われた」