8月も終わりに近づき、レポートの山に取り組む俺。


――プルルルル……。


響くのは、知らない番号からの着信。


そんなものは、普段ならスルーするところだけど。


レポートにも飽きてきたところだし、その日は電話に出ることにした。


“もしもし”


そう俺が言う前に、


「藤城?」


と、遠慮がちな、それでいて気の強そうな声が聞こえる。