すると、ふと思いついたように、乃愛はあごに人さし指をあてた。


「ところで、王河。
なんでこんなところにいるの?」


「ん?
撮影終わって、通りかかった」


――なんて、ウソ。


わざわざ、乃愛を助けにきたの。


本当の気持ちは、心の中で、そっとつぶやく。


どうやら俺は、カズが言う通り、全然素直じゃないらしい。