先生の彼女にして下さい。



参加する気なんて鼻からない癖に、バレたときなんとでも言い訳できるように、しっかりとジャージには着替えている私。


グラウンドと体育館のどちらの様子も程よく見える目立たないこの場所は、私の体育の基本的なポジション。




「あっ!るぅちゃーーーん!」


やめろ。呼ぶな。見つかる。バレる。


「るぅちゃんこれ持って観ててね!」


ふざけるな。声が大きすぎるでしょーが。





自分のタオルを持ってろ、と渡してくる涼介。


仮にも私サボりの身分なんで、目立つことだけは避けたいんですよね、涼介さん。


ほらー。涼介ファンの名前知らないけどよく睨んで来る子にガン見されてるよ、私。



どうする?このまま涼介のタオルで顔隠しながら消え去ろうかな...なんて考えていると。


「ねぇ!こいつ具合悪いからここでちょっと休ませとくから。

先生には黙っといてくれない?
女子の体育の先生面倒でしょ?」

お願い!と笑顔で頼む涼介。
私だったら完全スルーしちゃうその笑顔だけど、涼介ファンの私をガン見してくる系女子には効果有りだったようで。


「瑠璃果ちゃん大丈夫かな?心配...」と心にもないであろう台詞が聞こえてきた。まぁ涼介のおかげで体育をサボれるようです。