「新堂先生!私目覚めたんだ。
ガリ勉になってみるって決めたの。だからよろしくね!」


私の数学担当の新堂先生。

佐伯先生と並ぶイケメンだからか、授業の教え方のわかりやすさからか、新堂先生もものすごい人気がある。



私は佐伯先生一筋だから、新堂先生の人気はまったくもって興味ないことだけども。


「瑠璃果どうした?
なんか変なもん食っただろお前。」


疑いの眼差しで私を見てくるなんとも失礼な講師がここに一人。



「ひどい!ひどすぎる!
新堂先生?私にだって本気になるときくらいありますよ。

仮にも先生なら生徒の純粋な目を見て信じて下さいよー。」



私の発言に対してなのか、もう耐えられないと言った感じで聞こえてくる、クスクスという笑い声。


「どこが純粋な目だよ。」


と皮肉るの声は私の大好きな声。

そうだった。個別指導塾といえど、簡易的なパーテーションで区切られているだけであって、声は筒抜けなんだった。



「あぁ、佐伯くんが絡んでんのね。」

はいはい。と納得したように数回頷いた新堂先生は私にこの問題を大人しく解けと言う。


新堂先生の勘がいいからなのか、私のあからさまな態度からなのか、私が佐伯先生を好きなことは気づいたときには認識されていたみたいです。