「前髪切ったほうがいいと思う?
それとも伸ばしてるほうが似合うかな?」

佐伯先生的にはどっちの女の子がお好みですかね??


「勉強の邪魔だから切れ切れっ!
ほらもう授業始まる時間だろー」


出た。真顔でけっこー切実に聞いてるのにこの軽くあしらわれてる感じ。

毎度恒例のことです。


「瑠璃果さんが俺に質問する内容なんてないでしょ?
さっさと自分の席につけー」


後ろから私の両肩を押しながら席まで誘導してくれる感じ。嫌いじゃないです。や、むしろ大好きです。


「あー。もっとバカな脳みそだったら良かったのにな。私も佐伯先生の授業受けたい!!」


地団駄踏む私のことを佐伯先生がクシャって笑うから、やっぱり好きだなぁ...笑った顔も。なんて考えちゃう。




「瑠璃果さーん。それ俺の生徒さんに嫌味言ってるようなもんだからね?

瑠璃果さんは俺が教えなくても優秀なんだから!S高校入れるようにこのままキープしていきなよ?」


そうなんです。
残念なことに佐伯先生の担当教科は英語なのですが、私は英語の成績がとてつもなく良いんです。

や、他の教科も英語ほどではないにしても、総合で常に学年2位の成績ではいます。

勉強を頑張らないから2位という中途半端なあたりが私らしいところ。




「うーん。S高校の制服は憧れるけど...
別に家から一番近いとこでいいよ。」


S高校とはこのあたりでは一番偏差値の高い学校で、尚且つ制服の可愛さも高偏差値な学校です。


「あっそ。瑠璃果さんがS高に合格したら、俺一緒にディズニーランドのチケットあげようかなって考えてたのにな。

この間行きたいって散々騒いでたけどね?
まぁしょーがないよね?」



「佐伯先生?そのディズニーランドには私と一緒に行ってくれるの??」


高速で瞬きをしながら聞く私に、佐伯先生は一瞬考えて、そして小声で。


「......S高に受かったら、ね?」