最後の夏 ~十年の想い~



…ユカリさん……しばらくたってから、それが誰をさしているのか分かった。


……たぶん、アイラの母親のことだ。


「家に帰ったらもういなくなってて……。ずっとさがしてるけど、全然見つからなくて……。もう、どうしたらいいんだろう………」


泣き出しそうな顔で俯く。


その瞬間、ふと、あの時の記憶が蘇った。


アイラの悲鳴、母さんの必死な叫び声。


気づいたときには、俺は呟いていた。