最後の夏 ~十年の想い~



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俺は、学校を出ると当てもなく歩き出した。


時々、車が通るくらいの細い道を歩いていると、パタパタという足音が聞こえてきた。


誰だろう、と思いながら、足を進める。


どうせ俺には関係ない。


しかし、微かに聞こえてきた声に、ハッと体を強ばらせた。


なんて言っているかは、よく聞き取れない。


しかし、その声の主はすぐにわかった。


「………アイラ?」