最後の夏 ~十年の想い~


*ユイトside*

「アイラ………?」


もう、とっくに帰ったと思っていたアイツが、なぜか今、玄関から出てきた。


思わず、椅子から勢いよく立ち上がる。


もしかして、俺を待っていてくれたのか……?


一瞬、そんな期待が頭に浮かぶ。


けれど、それを振り払うように俺は頭を振った。


(そんなわけないよな……バカか、俺は。)


こんなにまで、自分の都合のいいように解釈してしまう自分がイヤになる。