最後の夏 ~十年の想い~



(そしたら、待ってたのがバレちゃうじゃん!バカか、私は………)


そう、思い至って、思わず溜め息をついた。


もうすでに、渡り廊下からは足音一つ聞こえてこない。


シン、と静まり返った校舎は、何となく心地よかった。


いつだって、どんなときだって、私は結局一人なんだ。


そんなの、ずっと分かってた。


誰かを頼ることも、誰かを信じることも出来なくて。


友達といるときも、家にいるときも


本当の私を見てくれる人はいないから。