最後の夏 ~十年の想い~



分かったよーいけばいーんだろーという声と共に、それぞれ部活へ向かい始める。


何だかんだ言って、学級委員には逆らえないらしい。


そして、その勇ましい学級委員は、満面の笑みで満足げに頷いていた。


「よし、私も帰ろー。飯野くん、またね。」


よいしょっと言いながらリュックを背負ったアイラが、俺に向かって控えめに手を振る。


「お、おう……」


歯切れの悪い返事を返して、俯く。


なんか、もっとこう、いい感じのこと言えないのか、俺は……


アイラが教室を出て行った後も、俺はしばらくの間、席を立たなかった。