家につくと、母が台所に立っていた。


「ユカリさん?!ダメじゃないですか、安静にしていないと!」


私が慌てて彼女のもとへかけよると、彼女は不満そうに頬を膨らませた。


「大丈夫ですよ、アイラさん。私だって、まだまだ動けますから。」


そう言うと、切りかけのニンジンを見下ろした。


「今日はカレーがいいなぁって思ったんです。
どうですか?」


母は楽しそうに微笑んだ。


とても綺麗な笑顔だと思う。


でも、明らかにそれは、実の娘に向けるようなものではなかった。