……アイラ、思い出して。俺だよ。
口元まででかかった言葉を、寸前で飲み込む。
(……何、考えてんだ、俺……)
自分の勝手さに、思わず舌打ちしそうになる。
なにも、今更言うことないじゃんか。
アイラが忘れてるんなら、それでいいんだ。
無理に思い出させる必要は、ない。
「……あの、飯野くん…?」
まだ、少しだけ怯えが残った、強張った表情で
、アイラは俺の名前を呼んだ。
「……あ、案内だっけ?ごめん、せっかくだけど、パス。また、気が向いたら頼むから。」
優しい口調で言うつもりが、少しだけ突き放し
たような言い方になってしまう。
案の定、アイラの表情がますます強張った。

