今日は入学式。新しい出会いがある日。


「フンッ、何が保護者同伴よ!」


リビングに置いてあるソファーに腰かけながら、食パンをひとかじりする。


あたしの家の事情も知らないで……


入学式のプリントをぐしゃぐしゃにして、ゴミ箱に放り投げる。


「小雨?どうしたの」


ライウが台所からひょこっと顔を出す。その目は心配そうにあたしを見ている。


「なんでもない。留守番、よろしくね」


真新しい制服を着ると、あたしは外に飛び出した。


「いってきます」


「いってらっしゃい」


ライウの優しい声が、あたしの背中を押してくれる気がした。