「美羽?」

首だけ上げて下を見てみると、へその辺りに顔を置いてクークー寝息を立てている美羽が目に入った。
それを確認した途端全身からどっと力が抜けていくのが分かった。
ほっとしたのか、残念なのか、どちらでもありどちらでもない複雑な心境だった。

「・・・・・ったく、この酔っ払いめ」

俺は体を起こすと、足元にいる美羽の体を引き寄せそのままゆっくりベッドへと横たえた。さっきまでの騒ぎっぷりはどこへやら、気持ちよさそうな顔ですやすや眠っている。

「はぁ~~~っ・・・・・・・・・、まいった」

俺はボフッと自分の体も隣に横たえると、天を仰いで額に手を充てた。
酔っていたとはいえまさか美羽があんな行動に出るなんて。まさに青天の霹靂だった。
本人は自分があんなことをしたなんて全く覚えていないに違いない。もしも知ればショックでしばらくは何もさせてくれないかもしれない。
・・・・言わない方が自分のためだろう。



・・・たとえお酒の力があったのだとしても。
彼女が初めて見せてくれた嫉妬。それが俺にとっては天にも昇るほど嬉しいことだった。
俺のせいなのに不謹慎なのは重々承知しているが、ああして彼女の本音に触れることができてこの上ない幸せを感じていた。
彼女も俺と同じなのだと知ることができたから。

俺は隣で眠る美羽の顔に手を添えた。
まだ涙の跡がうっすらと残る頬にキスを落とすと、そのまま唇まで移動してその感触を味わった。しばらく満喫すると、体ごと腕の中に閉じ込め自分も横になった。





「・・・・・俺がいない時にヤロー共がいる前で飲ませるのは絶対禁止だな」



俺は幸せに浸る一方で固く決意した。





【小悪魔小鳥の逆襲・fin】