その夜は眠れなかった。
疲れてぐっすり眠る美羽の寝顔を一晩中眺めていた。
あどけない顔で眠るその姿に、言葉では言い表せない愛情がわき上がってくる。
やっと、やっと彼女を手に入れた。
もう二度と俺の元から離れていくなんて許さない。
いや、そんなことを考える隙すら二度と与えない。
綺麗な髪と白い肌にそっと触れる。
触れた先からじんわりと温かさが伝わってくる。
俺は一度ベッドから出ると、クローゼットにしまってある小箱を取り出した。
箱を開けるとキラキラとダイヤモンドが輝いている。
彼女にきっと似合うであろうシンプルでいて上品な美しいデザイン。
再びベッドに戻ると、夢の中で微睡む美羽の左手をそっと握った。
細い薬指にゆっくりそれを差し込んでいく。
するすると進んでいくとやがてピタリとその指におさまった。
予想通り彼女によく似合っている。
彼女はいつこれに気付くだろうか?
もうすぐ夜が明ける。
きっと起きて真っ先に昨夜のことを思い出して一人悶絶するに違いない。
そしてひとしきり騒いだ後に指輪に気付くのだろう。
その時彼女はどんな反応をするだろうか?
驚く?固まる?喜ぶ?泣く?
決まってる。
彼女なら全部だ。
実に感情豊かに喜びを表してくれるに違いない。
「ん・・・・」
どうやら目が覚めたようだ。
目線の下で俺の裸を目の当たりにして固まるのは想定済みだ。
まだ彼女は俺が既に起きていることに気付いていないらしい。
案の定真っ赤になって一人で慌てている。
おかしくて思わず声を出して笑ってしまいそうだ。
一体いつになったら彼女は俺に気付くだろうか?
それもまた一つの楽しみだ。
彼女とならばどんなことも笑顔に変えられる。
さぁ、いよいよ彼女とのご対面だ_____
【孤独な小鳥の慣らし方・fin】