「これから太陽くんの主治医になった高峰です。よろしくね」


白衣を着て爽やかに挨拶する先生に俺は見覚えがあった。



「高峰って…空良の親戚?」


「そうだよ。あれ?覚えてないかな?昔、遊んであげたんだけど」


ニコニコとぎこちなく笑う先生をじっと見つめる。


今日は新しく移る病院で新たに主治医となる医者に挨拶と検査に来ていた。



「……誰やっけ?んー…」


なかなか思い出せないでいると隣にいた母さんが呆れたように言った。



「高良くんよ?覚えてないの?よく空良くん達とイタズラしてたじゃない」


「えっ?イタズラ…?」


あっ!高良くん!


思い出した!



「研修医!」


「ははっ、昔はね」


苦笑をする高良くん。


引っ越す前に空良ん家に下宿していた高良くんは、俺達ガキのおもちゃになっていた。



「高良くん!もう医者なんだ!」


「そうだよ。もうあれから何年経ってると思うんだよ?」


はは~っと高良くんは笑った。



「そうだよね。何か老けた?」


「太陽っ!」


母さんは慌てて俺の発言を否定した。



「大人になったのよね?高良くんももう立派なお医者さんになって感心だわ」


おほほほ…と笑って誤魔化す母さんに高良くんも可笑しそうに笑っていた。