「編入試験は大丈夫?」


「あー…もうとっくに受けたで」


「えっ!?いつの間に」


全く知らなかったようで空良は驚いた表情をした。



「もうすぐで夏休みも終わるしな。荷物もちょこちょこ送るわ」


「分かった」


蝉が煩く鳴き響く公園で空良と二人ベンチに座る。


陽射しはきつく肌がジリジリで焼かれていくのが分かる。



「そっち行ったら知ってる奴いるかな?」


「んー…咲希ぐらいかな?覚えてるか?」


「んー…あっ!昔よく一緒に遊んでた女の子だよな?」


「あぁ。仲良かっただろ?」


「おぉ。空良ん家でお泊まりとかしてたよな?」


思い出した!と懐かしくなる。



「咲希って俺の病気のこと知ってたっけ?」


「いや、知らないと思う。俺がアキと会ってることも知らない」


「ふーん…そうなんや」



小さな子供たちが暑さも気にせずに走り回っているのを見つめる。


俺はああやって走り回ったことがなかった。



「…アキ」


「ん?」


「待ってるから。戻ってきたこと後悔させないから」


空良は少し不安げな顔をした。



「あぁ。待っとけ」



新たな人生がスタートしようとしていた。